■登り窯
参加くださいました皆様どうもありがとうございました。
(奈良県山添村 2008年宮嵜剣水築窯)
我々の先人がモノづくり、発展のために開発した登り窯。
炎の力強さ、自然の力、昔から変わらない原始的な焼き方を
目の前で感じることが出来、体験できます。
ご興味あるかたは是非一度ご覧になって下さい。
登り窯は2009年から不定期で1・2年に一度のペースで焼成しております。
次回予定が決まりましたらこちらで告知致します。
窯は奈良県山添村にあります。
見学ご希望の場合、焼成ご希望の場合の方は
ご連絡下されば詳しい場所をお教え致します。
*大阪から車で約一時間。奈良市内から50分ほどの場所です。
河内焼 陶芸教室 宮嵜剣水(ミヤサキ ケンスイ)
072-923-2574
~過去の登り窯作品~
~登り窯焼成風景~
2007年1月21日(日)
突然舞い込んできた話。
陶芸家を志す者にとって窯とは・・・・
どんな狭い工房で製作していようが、立派で便利な広い工房であろうが、さほど問題ではないのですが、窯となると・・・それは陶芸家の生命線といえるかもしれません。
長い事あちこち候補地を探していたもののなかなかよい登り窯の候補地は見つかりませんでした。
山添村切幡(きりはた)・・・この山の所有者のはこの地区出身。先代が趣味で始めた小さなガス窯と茶室にも使えそうな小屋・・・それらが、木々に埋もれて、おりしも、先日到来した寒波の余波でしょうか?雪が少しだけ残っておりました。
寒さに震えながらも、突然舞い込んだ窯の候補地に大いに感動でした
2007年3月5日(月)
レンガ搬入
3月5日、春の嵐が日本中を吹きぬけた日、岐阜県土岐市より耐火煉瓦をのせた10tトラックがやってきて窯の前の空き地におろしていきました。
この日購入したレンガは約3000個、必要数のまだ三分の一です。
2007年3月25日(日)
地面を硬く締めます
地盤がゆるいと窯を焚いた後窯が傾いたり、歪んだりする為、
地面をしっかりと固める。愛車のジープで、何度も前進、バックを繰り返した。
これでかなり地面は硬くなったはずだ。
目標の傾斜にはまだまだです。
2007年4月1日(土曜)
基礎工事
水準器で糸を張り、水平を出しながら基礎工事を進める。
基礎工事の途中だが、出来上がりをイメージするためレンガを並べてみた。フムフム、、、水準器で糸を張り、水平を出しながら基礎工事を進める。
2007年4月11日(水)
基礎工事
基礎工事、窯全体を支えるため、基礎は広く深くつくりました。石を置いて「捨てコン」で固め頑丈に!
熱が加わるため壁と中央は分離構造にしました。深さは約50センチ幅も50センチほどの基礎がぐるりと周りをかこっています。
2007年4月14日
基礎完了
一の間「胴木の間」の基礎が完了しましたが、これからが大変です。それにしてもよく見ると、一寸だけ中心からずれているのかな?(笑)
傾斜は約20度を採用、標準的な登り窯の傾斜で本来は北側の傾斜に窯は作られるのがベストなのですが、土地の形から仕方なく西向きの傾斜に作ることになりました。
「ゆったり焼く」この幅広の窯は備前焼の窯に良く似てるといえます。
2007年5月7日(木)
屋根工事
窯の大屋根が出来上がって、これなら雨の日でもレンガ積んだり作業が出来ます。
ヒノキの丸太で組まれた大屋根は幅広で左右に松割り木がたくさん保存できるようになっています。
2007年6月5日(火曜)
どんどんレンガを積んでいく
アーチの部分も出来上がり、どんどんレンガを耐火モルタルで積んでいく。だんだん窯らしくなっていくのがわかります。。
2007年9月24日
レンガの種類は・・・
レンガはSK32番の(1720℃に耐える)耐火煉瓦を使用。
山は10月頃から徐々に朝晩雪景色。
今年の作業はここまで。
来年2008年春から作業開始します。
2008年4月
今年の作業開始!
春爛漫、窯の周りには山ツツジが綺麗に咲き始めました。
2008年5月6日
2の間作業中
一の間がおおよそ出来上がってきましたので
2の間の作業。
ひたすらレンガを積む・・・。
2008年6月末
完成!
ようやく完成しました。
電気窯やガス窯が無い時代の
先人たちはこうして何日も何ヶ月も掛けて自作の窯を作っていたと思うと
頭が下がります。
2008年7月
薪屋さんから薪購入。
薪は、半分は信楽の薪屋さんから購入。
残りは、原木の丸太を購入、また近くのゴルフ場から伐採仕立ての松の大木を数本頂きました。
玉切りした丸太を、斧で割っていくのは大変ですが、なれると結構楽しいし、そんなに難しくは無いですね。特に腰痛や肩こりも起こらず、目標の300束は簡単に出来上がりました。
あわせて700束これだけあれば、絶対余るはず!
薪が綺麗に列ぶと「窯屋さん」の風情がでるでしょ
2008年9月20日(土曜日)
いよいよ本焼きスタート!
窯の周りを綺麗に掃除して、縄を張り窯の神棚には、水と塩と洗米が供えられ祝詞があげ、いよいよ点火です。
この窯の特徴は、一般的な登り窯と比較すると、傾斜はあまりなく、横幅が広く、窯の内部も高く、奥行きもあるので、焼き方としては、ユックリと時間を掛けて焼く窯だと言えます。似ている登り窯としては岡山県の備前焼の「融通窯」と言われている登り窯に比較的似ています。ゆっくり時間をかけて「あぶり」をしないと上手く温度が上がりません。24時間で500度くらいが目標です
2008年21日・22日
本焼き2日目・3日目
順調に温度は上がらず、薪ばかり消費していく。
思ったようにはならず・・・。
「初窯は焼けない」という昔からのジンクスが当たっているな。
2008年9月23日
本焼き3日目
窯は1200度を超えて(弱いところでも)正面の火前はゆうに1300度を超えているような炎の輝きです。
燃え盛る割り木は黄色からやや白に近い輝きにかわり窯の両横に開けられた覗き穴からは作品の甕が肩先まで流れ出した溶岩のようなオキに飲み込まれそうになっているのが確認できます。メラメラと燃え盛るオキが溜まり、窯の中はまるで灼熱地獄のようです。そこに新たに割木を投げ入れる度に灰が舞い上がり作品に降りかかるのです。
2008年9月24日
本焼き終了
一の間が焼きあがり、その余熱を利用して二の間も同時に焼いていく登り窯は上手に余熱を利用したもっとも完成された薪の窯といえます。
なんといってもたくさんの作品が同時に焼けるのが嬉しいです。
2008年10月4日(土曜)
待ちに待った、窯を開けた瞬間です。
最前列は強烈に焼けた状態。
黒ずんでいるところまで、薪が燃えて「オキ」が被って作品が焦げた状態。
2008年
初めての登り窯を終えて。
しっかり焼けたのは1の間の火前だけで、
奥や上部の段はあまり焼けていない。
窯の構造から言うと一の間だけでも1週間は焼きたい(備前焼の窯並に)
けれども、燃料の松や焼成に携わる人員の確保などを考えると日数を短くして焼くしかない。
今回の焼成を活かして来年度は少し窯の構造を変えてみようと思う。
京都の伝統的な登り窯は共同窯であり、今回作った私の窯は
個人で持つ登り窯としては規模が大きすぎた。
窯自体の大きさは変えられないので、窯の構造(棚組や投げ入れ口)や煙突の太さや高さを微調整していき
ベストに近づけるよう焼きながら追求していこうと考える。
登り窯本来の理想は大量に作品が他品目に渡り一度の焼成で焼きあがるという魅力である。
しかし、窯内部に収めされた全ての作品が思い通りに焼きあがるのは非常に難しい。
窯内部が広い為、ポイントによって温度差が50度~100度の差が出る。
粘土の種類・釉薬選択・置く場所様々な条件を模索しながら今後も焼成してこうと思う。
宮嵜 剣水
写真。